最終更新日 2024年4月30日 by prof
●原油と日本のかかわりについて
日本では、原油がエネルギー資源として欠かすことが出来ません。
原油は油田から採掘したままの状態であり、精製されていない石油のことを指します。
こうして精油してつくられた石油の用途は、発電用の燃料として使われるほか家庭の自動車・ストーブなどの暖房や工場の燃料・動力源として使用されるなど私たちの生活に密接に関連しています。
しかし、日本国内では油田がごく限られており、埋蔵量が多いわけではありませんのでほとんどを輸入に頼っているのが実情です。
ほとんど知られていませんが、日本でもわずかに油を採掘できる場所はあります。
新潟県・秋田県・北海道までの間は油田があり、そこで少し採掘されています。
ただし、1年間の採掘量は全体を合わせても国内で使う1日から2日分でしかなくごく少ない量です。
日本の石油産業発祥の地とされているのは新潟県であり、明治時代において一攫千金を狙う人々によって油の掘削が盛んにおこなわれたところでもあります。
石油の備蓄に関してみると日本国内には現在10カ所ほど、国家石油備蓄基地があるのですが隣接する北海道石油共同備蓄基地と併せて苫小牧から厚真町にかけて広がる苫小牧東部国家石油備蓄基地が、世界最大級といわれる地上タンク方式の備蓄基地となっています。
ただし、ここで備蓄されているオイルの量も全部で日本で消費するオイルのうち約12日分にしかすぎません。
こうした点からも日本は、毎日大量の油を消費している国ともいえるわけです。
●タンクは低い場所に置かれ厳重に管理されている
ちなみに、タンクのある場所の周辺は森林で囲まれており車が立ち入ることが難しい場所にあるため厳重に管理されています。
タンクの立地に関してですが、土地の高さが数メートル周辺と比べて下がっているのも特徴です。
道路から見ると、タンクは低い場所に置かれていることになります。
残りの石油は、99.7%までが輸入されています。
主な日本国内における石油の輸入先は、中東各国です。
経済産業省のデータによると、サウジアラビアからの輸入が約32%も占めています。
さらにアラブ首長国連邦からの輸入が約27%・イランからの輸入は約15%となっており、この3か国でおよそ4分の3以上を中東からの輸入に頼っているのが現状です。
そうして運ばれてきた原油は、製油所と呼ばれる精製して石油製品をつくる工場に運ばれます。
日本国内にはこうした製油所が20ヶ所ほどあり、そこで私たちの生活に適応した石油にかえられて各地に供給されるという仕組みです。
財務においては、輸入金額はそのもの2017年に約57兆円と過去最高を記録しています。
そのうち、原油の輸入金額は約8兆8,000億円で輸入総額に占める割合は約15%となっており、石油がいかに私たちの生活にとって欠かせないものであるかを証明していることがいえるでしょう。
ただ、石油の輸入総量は変わらないものの単価に関しては年々上がっているために輸入金額は増加傾向にあります。
●日本にはオイルを運ぶタンカーの航路がある
中東から日本までオイルを運ぶときには、大型のタンカーで運ばれます。
使用されるタンカーは、20万トンから30万トン級のVLCC(VeryLargeCrudeCarrier)という巨大なタンカーが中心です。
全長は約330mもあり、新幹線12両分の長さに相当するほど大きなタンカーです。
高さも船底からマストの頂点までの高さが約75mもあり、22階建てのビルの高さに相当するほど大きくこれが時間をかけてインド洋上・南シナ海などを経由して日本へと運ばれます。
日本に届いた原油をおろす方法はというと、地上のタンクから桟橋までパイプラインが伸びていて油をおろすとき、パイプラインとつながっているローディングアームをタンカーに取り付けます。
全部おろすのに要する時間は30時間から50時間とかなり大がかりな作業です。
日本国内ではこの油を運ぶタンカーの航路をシーレーンと呼び、海の生命線ともいわれるシーレーンが機能していることによって、日本のエネルギー事業が賄われている面が大きいです。ただ、主に中国からこうしたシーレーンに関する圧力がかけられているため国防面では広く議論されています。
オイルは実は無尽蔵に採掘される資源というわけではありません。
この先採れる年数は一時期は50年分といわれ一時期は油の枯渇が心配されていました。
ただ、現在は世界的には、石油の類似資源などの開発が進みオイルサンド・シェールオイル等といった代替となる燃料の開発研究が知られるようになったことから、石油の埋蔵量は飛躍的に増加するようになりました。
当面は、エネルギーに関しては枯渇をする心配はなくなったといえるでしょう。
また、他にもバイオマスなどを使用した燃料の開発が進んでおり、今後さらに安定したエネルギー源が出てくる可能性があります。