交通事故でむちうちが疑われる場合

最終更新日 2024年4月30日 by prof

1.むちうちとは?詳しく解説

交通事故の怪我で最も多いのは、いわゆる強い衝撃を受けることで生じるむちうちです。
正式名称は外傷性頸部症候群で、医療関係者の間では、頚椎に発生する捻挫と捉えられています。

スポーツ事故や労働災害でも発症しますが、一般的には車に乗っている際の衝撃で症状が出始める傾向です。
症状は靭帯や関節包を始めとして、筋肉などを含め広範囲に表れます。

外見には特に変化がありませんから、初期には自覚症状がなかったり、後から痛みが出ることも珍しくないです。
正確な診断を行うためには、詳細な検査を必要とするので、必ず医療機関での受診が不可欠です。

交通事故の当日には、痛みや違和感といった自覚がありませんが、翌日から少しずつ痛みが増すなどの変化が起こります。
例えば首筋の痛みや背中や肩のこりに、耳鳴りと頭痛を訴え掛ける人もいます。

めまいや吐き気など気分に関わるものも、むちうちでは良くある症状に数えられます。
他にも、食欲不振や不定愁訴など多種多様の症状があるので、特定の症状のみで診断を下すのは不可能です。

頚椎を捻挫した場合は、肩の重さや首の痛みになって症状が出てくるでしょう。
自律神経に支障をきたすケースでは、頭痛や肩こりに吐き気と耳鳴りが生じます。

神経根を損傷すると腕に痛みが出るので、医師はこの部分もチェックして症状を判断するわけです。
脊髄に損傷がある時は、手足に麻痺が出てしまいますから、他の部位に比べると比較的分かりやすいです。

吐き気は首を痛めたことを切っ掛けに、自律神経が乱れてしまい、痛みに敏感になることから起こります。
気持ち悪さが他の症状を引き起こすので、一度ドツボにはまると悪循環が発生します。

2.むちうちは頚椎固定具を装着して動かないようにするのが基本

むちうちは首のダメージによる部分が大きいですから、頚椎固定具を装着して動かないようにするのが基本です。
首は頭を支える役割があるものの、常に重量の負担が掛るので回復が遅れがちです。

頚椎固定具で固定を行なえば、首の負担が減って回復へと向かいますから、早ければ2、3週間後には外せるはずです。
ただし、患者の中には回復に向かわないケースもあるので、その時は個別に対応する必要があります。

交通事故は、それだけでも精神的な負担となりますが、肉体的にもダメージを与えるので厄介です。
痛みの緩和や回復には、患部を温めて血行を促進するのがベストですから、治療に温熱療法も採り入れられています。

温熱療法は、主に筋肉を温めるのが目的で、血行促進による原因物質の排出を促します。
マッサージと運動療法も有用で、前者は筋肉の柔軟性を高めて緊張をほぐし、後者は体の機能を取り戻すのに役立ちます。

湿布や内服薬もありますが、これらは対症療法で決定打にはなりませんから、小手先の対応だけに頼らないのが賢明です。
間違った治療や対症療法、そして対処の遅れは悪化や回復の遅れに結び付きます。

むちうちは長引くのが普通で、交通事故から1ヶ月までの間を急性期、1ヶ月から3ヶ月の間を亜急性期と呼びます。
3ヶ月以降は慢性期に入りますから、この慢性期を長引かせないために、各時期に合わせた適切な治療が求められます。

急性期は出血や切り傷で説明される時期なので、患部を安静にする重要性が高いです。
安静の度合いが後遺症に影響するとされていますから、軽く考えないでしっかりと固定することをおすすめします。

3.整骨やハリなどは交通事故から3ヶ月が経ってから受け始める

しかし、固定期間が長引くと筋肉が硬直したり、萎縮するなどして心理的にも良くないので、何時まで固定を続けるか見極めるのも肝心です。
痛みが強く出る場合は、内服薬やビタミン剤などを使って、症状を和らげることもあります。

亜急性期は、損傷を受けた体組織の修復に必要な時期で、この期間に柔軟性や機能性を取り戻す治療が行われます。
基本的には、温めたり動かして体に刺激を与え、筋肉の強化を図る運動にも取り組みます。

固定期間が長引いてしまうむちうちは、筋肉が弱まってしまいますから、ここで無理なく筋力を付けるのが重要というわけです。
筋肉量が増えれば、血管も強くなって血流がアップするので、回復を促進する切っ掛けとなります。

温熱療法もこの亜急性期に行われるもので、赤外線やマイクロウェーブを使ったり、低周波やホットパックで積極的に温めます。
首の柔軟性を引き出す為に、牽引も治療に用いられますが、筋肉の緊張が強い時は禁物です。

内服は循環促進剤やビタミン剤が中心で、神経根症状がある人には神経ブロックも適用されます。
一方、慢性期は薬物に対する依存が強まりますから、内服は制限されて神経ブロックも回数が決められます。

整骨やハリとマッサージなどは、慢性期の回復促進に適しているので、交通事故から3ヶ月が経ってから受け始めることになります。
心理療法もあるにはありますが、日本ではあまり重要視されていませんから、受けられるケースは少ないでしょう。

交通事故は思い掛けずに突然発生しますが、むちうちは徐々に痛みが出てくるので、油断せずに早めのタイミングで適切な治療を始めることが重要です。

・・・交通事故におけるむちうちの症状や治療期間について